武道教室と習い事教室の違いとは?子どもに武道を習わせる時の注意点
武道は本来入門して門下生になるものです
以前、別のブログで武道教室と一般的な習い事教室との違いについて少し触れました。
本記事ではそれをもう少し詳しく詳しく説明させていただきます。
まず一般的な習い事では入会して生徒として通うという感覚ですが、武道は本来習い事の感覚とは異なります。
武道にはそれぞれ『流派』があり、それを『門派』と言います。
そしてその門派に入ることを『入門』と言い、習い事でいう『入会』に相当します。
また、武道において教えを授けるのは『師範』であり、習い事でいう『先生』に相当します。
入門すると師範とは師弟関係を結ぶことになり、その結びつきと関係性は一般的な習い事における先生と生徒よりも強くなります。
これは武道に限らず芸事、例えば演歌など歌であったり、勝負事である将棋などの世界にも当てはまります。
こうやって師弟関係を結んだ後、本気でその世界で身を立てようとする者は、昔なら空手、柔道、演歌や将棋などでは、師匠の家に住み、付き人、下働きするというのが普通でした。
現代でも一部の武道道場などでは内弟子として住み込んだり、入寮して他の弟子と生活を共にするスタイルがあります。
そして、弟子を預かると言うことは、その技術を教えるだけでなく、礼儀作法、人間性、社会の常識など全てを教えることにもなります。
さらには厳しい修行に耐えうる体をつくるべく、食事法や健康管理などにもこだわり指導している所もあります。
現代でイメージしやすい例としては、相撲のちゃんこ(1日2食という食事法と栄養管理)と昼寝(健康管理)です。
令和の現代はパワハラ告発の時代。厳しい師弟関係、スポ根の鬼コーチ、スパルタ指導の価値観は合わなくなくなってきている
続いて、これはネガティブな話なので、書かない方が良いかもしれないですが、あえて書きます。(これは私個人の主観的な見解です。)
昔の武道の世界は師弟関係を結ぶとかなり過酷で厳しい稽古が待っていました。
それこそ罵声や怒号が飛ぶのは当たり前、体罰すら許容され、体に痛みや怪我を伴う指導も普通だったと思います。
今でも相撲の世界が厳しいのは一般の人でもなんとなく想像できると思います。
またオリンピックでメダルを狙う場合、国内や世界の大会で優勝を目指す場合などもその練習内容や指導が並ではないことは言わなくても分かると思います。
それが現代は、相撲、新体操、空手などあらゆるジャンルで体罰、パワハラなどが社会問題としてニュースになっています。
しかも、小さな所でなく、オリンピック代表選手を育てているようなメジャーな所で問題が発生しています。
※参照記事
⇒失明のおそれを伝えていたのに竹刀で… 空手・植草歩の告発で明らかになった「変われない組織」の実態
⇒暴かれた新体操の闇…スパルタ指導がないと「一流」になれないのか
個人的にはこれは、
・現代社会が体罰やパワハラなど理不尽なことへの寛容性、許容性が低下していること
・昭和の時代では当たり前だった根性論やしごきは、西洋の合理的思想を優先する現代の価値観とは合わなくなっていること
が背景にあると考えています。
その上で、昔の師弟関係のように
・親子関係に近い関係性を結べていなかったこと
・厳しさや理不尽さを指導するための怒号、罵声、体罰の背景に愛情が欠如、または愛情が相手に伝わっていなかったこと
なども原因にあるのではないかと推測しています。
ちなみに昭和の時代までは、今でいう体罰、パワハラなどは当たり前というか、むしろそれをパワハラという方が精神的に軟弱でおかしい、という風潮すらあったと思います。
例えば『北斗の拳』の主人公ケンシロウが子ども時代、組手練習でボコボコにされて血を流すシーンも普通でしたし、スポ根の代表的な漫画である『巨人の星』の父星一徹やバレーボールの『アタックNo1』の鬼コーチ本郷によるスパルタ指導やしごきとかも社会で普通に受け入れられ、逆にそれを根性で乗り越え強くなるのがカッコいいという価値観だったと思います。
実際、リアルの世界でも厳しい部活や体育大学では指導員によるしごきや、さらに先輩からの理不尽な命令やシゴキがありましたが、現代のように社会問題にはなっていなかったと思います。
それが、現代では師弟関係だけでなく、親子間でも体罰や厳しいしつけは、DV、虐待と社会的な問題になりえるリスクがあります。
昔の漫画や小説に出てくるエピソードで、悪いことをしたらご飯抜き、暗い倉庫に一晩閉じ込める、というのがありましたが、今の時代でそれをしたら、場合によっては児童相談所が動いて虐待のニュースが流れる可能性すらあります。
ということで現代の日本では、厳しい師弟関係、スポ根などは一般的な価値観とは合わなくなっていると思います。
現代の武道教室はマイルド化傾向で一般的な習い事と同じような感覚で通える所が増えました。ただホームページがなかったり古かったり、SNSの更新が止まっている所にはご注意点ください!
時代と共にその価値観が変わってきたため、武道教室もマイルドになってきており、一般的な習い事と同じような感覚で気軽に通える所が増えてきた印象です。
実際、冒頭で書いたように用語自体が一般化してきています。
道場⇒教室
入門⇒入会
師範⇒先生
稽古⇒練習
というのも現代では普通になってきました。
昔からの用語にこだわる所は、伝統を重視した所やガチな所が多いような気がします。
ちなみにこの用語の違いについては人によって解釈が微妙に異なります。
例えば、道場と教室の違いについても、
・常設道場を所有しているかどうか(場所を借りている所は教室)
・昔気質の厳しい雰囲気の所は道場で明るく楽しく雰囲気の所は教室
・師匠に稽古をつけてもらうのが道場で仲間と交流しながら練習するのが教室
など異なる基準があり、どれが正しいかについては共通の統一見解は存在しないと思います。
なお、ぶっちゃけた現実問題として、ネット社会の現代では、昔の用語で検索する人は少ないです。
そのためホームページを作成する時、宣伝したり、広告を出す時には検索エンジンに引っ掛かりやすいよう一般的な用語を使うというように、使い分ける所やホームページの中に両方記載している所もあります(笑)
このようにホームページやSNS,宣伝の用語を見るだけでもその教室の考え方や感覚が見えてきます。
そしてこれは個人的な印象ですが、ホームページやブログ、YOUTUBEの動画などネットやSNSに力を入れている道場や教室は、現代的な感覚や常識を持った所が多いように思います。
特に動画は実際の教室や指導者、生徒さんの雰囲気が分かりやすいですし、ブログは教室や指導者の考えや思想が伝わってきます。
逆にホームページがなかったり古かったり、SNSをしていなかったり更新が止まっている所へ問い合わせたり、体験を受ける時には注意された方が良いかもしれません。
なぜなら現代的な感覚を持ち合わせていなかったり、相手に分かりやすく教える、伝えるなど生徒やご家族さんに寄り添う意識が低い可能性がありますので。
こういう感覚や価値観の違いがあると、いざ何かあった時の話し合いも苦労することになりかねません(^^;
なお、
「最初に問い合わせた時の相手の応答や対応は、その教室や指導者を見極める上ですごく参考になる」
と思います。
「もし最初に何となく感覚が合わない、相性が合わないと感じた場合、その直感を信じた方が良い」
と私自身は今までの人生経験からも断言できます。
余談ですが、昔の武道の創始者や達人の伝記を読んだり、エピソードを聞くと、色々ぶっとんだ感覚を持っていることが分かりますし、こういう人達に一般的な常識を求めたり、普通の話し合いができることを期待するのは難しいだろうな、と思えます(^^;
ちなみにその人の強さや、その人が持つスキルは人格とは比例しないと思っておいた方が良いです。
実際、優れた技術を持つ選手や指導者に人格面も期待して失望したりガッカリするという事例をあらゆる武道、格闘技において見聞きしてきています。
よろしければこちらの記事もご覧ください⇒『武道教室は本当に女性が安心して楽しく通える所なのか?』
フルコンタクトの武道教室や格闘技ジムに子どもを通わせることをお考えの方はここにご注意ください。思わぬ落とし穴もあります!
まずフルコンタクトの武道とは何かについて説明します。
フルコンタクトの武道と聞いて真っ先に思い浮かぶのはフルコンタクト空手だと思います。
空手は伝統空手とフルコンタクト空手に分けられますが、両者は別物といっていいほど異なります。
伝統空手はもともと型のみの練習でしたが、その後、組手を練習したがる人が増え、現在では型と寸止めの組手を練習し、そのどちらもがオリンピックの種目になっています。
それに対してフルコンタクト空手は顔面パンチはなしで至近距離で激しくボディとローキックを打ち合い、相手をKOすることを目的とした組手練習をメインにします。
ちなみに伝統空手は一般的にローキックは禁止ですし練習しないです。
テコンドーも帯から下の攻撃は反則ですし、普段ローキックの練習はしないです。
ということでフルコンタクトの武道は
・全力本気(フル)の打撃を当て(コンタクト)、相手をKOすることを目的にしたもの
と言えます。
またフルコンタクトは広い意味では、
・相手に対して全力の力を出して接触するもの
ですので、柔道、相撲もフルコンタクト武道と言えます。
なお、習い事サイトでは、ボクシングやキックボクシング、レスリングも武道に分類している所もあります。
これは個人的な感覚ですが、ボクシングやキックボクシングは武道というより格闘技、その練習場所も道場や教室というよりジムという方がしっくりきます。
ちなみに英語だと東洋系の武道と格闘技は全てマーシャルアーツ(martial arts)と言われますが、ボクシングなど西洋が発祥のものはマーシャルアーツとは言わないですので、国や文化によっても考え方が異なると思います。
ということでお子さんを武道に習わせる時には、
・何を主目的とするのか(礼儀作法、技術的な強さ、大会で上位入賞すること、心の強さ、スポーツのような運動目的、楽しく体を動かす、etc)を明確にする
その上で、
・選択肢として考えている武道がそもそもどういうもの(コンセプト、ルール)なのかを調べる
さらに
・実際に通うことを検討している道場、教室の雰囲気(指導者の思想、普段の練習内容、実際に通っている生徒さん)をネットやSNS,口コミなどで情報を集める
というようにすれば、思っていたのと違うというミスマッチや選択ミスは起きにくいと思います。
続いて、お子さんを通わせる武道教室を選ぶ際の思わぬ落とし穴についてお伝えします。
それは、後から入ってくる生徒さんと親御さんです。
まずはこちらのヤフー知恵袋の記事を読んでみてください。
⇒喧嘩自慢の子供が柔道教室に入門して来そうで嫌なんですがどうしたらいいでしょうか?
柔道、空手、ボクシング、キックボクシングなどに通う生徒さんの目的に
「強くなりたい」
というものがあります。
この強くなりたいと思う人の中には、元からある程度強かったり、暴力的だったりする人もいます。
例えば、
・とあるフルコンタクトの空手道場には学校では危険人物と言われている町の不良のリーダーが通っていたり(あのK-1の人気選手だったアンディフグ氏も元は不良少年だったというエピソードは有名ですね)
・とあるボクシングジムには1年中桜吹雪が舞っているオシャレな背中を持つ方が複数通っていたり(人気総合格闘技大会ブレイキングダウンでも肌のオシャレ意識が高い方が多い印象を受けます)
実践的なフルコンタクト組手、スパーリングをする所ほど体に恵まれ、元から強い猛者達が、喧嘩に強くなりたい、と集まりやすいと思います。
逆に型動作とかにしっかりと時間をかける所や組手が寸止め、ライトコンタクトの所にはそういう血の気が多く、闘争心が溢れる方々には好まれないと思います。
ということで、通うことを検討している武道や教室がどんな生徒さんや親御さんに選ばれやすいのかを知っておくことは重要です。
また、体験レッスンの時にはそういう危険な香りのする生徒はたまたま休みで入会後に判明することもありますし、先ほどのヤフー知恵袋のように後からそういう生徒が入会する可能性もあります。
そのため、問合せをする時にこういうことも遠慮せずハッキリと聞いたら良いと思います。
ちなみに当教室では体験レッスン前の事前同意書に、
・生徒及びご家族、その関係者に反社会的勢力に属する方がいらっしゃる場合の入会、立ち入りは硬くお断りします。
・レッスン中に他の方に暴力(相手判断)をふるった場合は即時退会及び謝罪、治療費を含め対応していただきます。
とハッキリ明記しており、サインをいただいていますのでご安心ください^^
昔は厳しかった伝統空手。今の伝統空手は厳しいのか?
伝統空手は沖縄唐手を源流とし、沖縄の船越義珍氏が空手の開祖であり、創始者と言われています。
個人的には伝統空手の道場は礼儀作法が厳しいという印象を持っていました。
実際、空手を習っていた生徒さんがテコンドー教室の練習に参加する時には、指導員が話をする時には正座をして静かに聞きますし、クラスが始まる前や休憩時間に走り回ったり、ふざけて遊んでだりする傾向が少なく感じていました。
しかし、最近は礼儀作法がゆるくなったというお話を生徒の親御さんから聞きました。
その方はご自身が伝統空手を習い、自分の子にも習わせようと昔習っていた道場に体験に行くと、
「そこの生徒さん達が帯を使って縄跳びをして遊んでおり、それに対する注意もなく失望した」
「これなら伝統空手に習わせる意味がないのでテコンドーを習わせることにした」
とおっしゃっていました。
この話を聞いて思いましたのは、伝統を重視し、伝統を維持することがそのアイデンティティーにもなり、厳しく礼儀作法をしつけることを期待されている伝統空手や伝統武道は、どこまでそれをゆるめマイルドにするのかのさじ加減が難しいのだなぁ、ということです。
なお、このエピソードを聞いて、どれだけその親御さんに共感できるのか?によってあなたの感覚、価値観、求めるものがどちら寄りなのか判断する目安になると思います。
もし、
「帯を使って縄跳びなどけしからん」
と感じる方は、昔ながらの伝統を維持する所が合うと思いますし、逆に
「えっ、それぐらいいいんじゃない」
と感じる方は、現代のマイルドな教室を探した方が合うと思います。
これはどちらが良い、正しいという話ではなく、その人の感覚、価値観により近い方を選んだ方がストレス少なく満足度が上がるということです。
ちなみに韓国テコンドーはそもそも柔道と同じように普及を優先してスポーツ化し、伝統空手もよりも先にオリンピック種目になっています。
またテコンドーダンスもありますし、韓流スターが番組で楽しくテコンドーの技を披露するなどエンターテインメント化もしています。
テコンドーは漢字では「跆拳道」と書き、道を進む武道ではありますが、すごく柔軟ですので、世の中の価値観の変化やニーズにも合わせやすいと言う特徴があります。
実際、テコンドーは道場、教室ごとの特色の出し方も幅広く、許容性があります。
例えば、韓国本国には、組手専門のテコンドー教室、型専門のテコンドー教室、アクロバット専門のテコンドー教室、学習塾も並行するテコンドー教室(これは喧嘩独学の新庄玲央のお父さんが運営するテコンドー道場のスタイルですね^^)など多様性があり、許容され、受け入れられています。
だからこそ当教室のように
・フルコンタクトの自由組手練習はしない
・『無理なく楽しく♪』『怪我なく故障なく』『痛くない怖くない』が3大ポリシー
・カッコいいテコンドーの蹴り技をマスターすることを重視
・テコンドーという武道を通した心の育成を重視
というかなりレアな特徴、特色を持っていても許容されており、それに納得し、共感していただける生徒さん、親御さんに通っていただけているのだなぁと思います。
本当にありがたいことです。
以上、少し長くなりましたが、この記事が、武道教室が通うことを検討している方やお子さんを武道教室に通わせることを検討されている方に少しでも役に立てば良いなと思っています^^
追伸
もし当教室のテコンドーの方針や練習について何かご試問のある方、体験レッスンを希望される方は是非お問い合わせください^^
24時間受付中です^^
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